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11話

トム

サラと私はアパートの建物から出て、冷たい朝の空気が肌を刺すように感じた。太陽は雲間から顔をのぞかせ、賑やかな街路に柔らかな光を投げかけていた。黄色いタクシーが縁石のところでエンジンを不機嫌そうに唸らせながら待機していた。

「さて、あなたの馬車がお待ちかねのようだね」と私は大げさにタクシーの方へ身振りで示した。

サラは笑った。「カボチャの馬車のことね?」

「気をつけて、正午には元のカボチャに戻っちゃうかもよ」

私たちはしばらくそこに立ち、どちらもさよならを言う準備ができていないようだった。私は足をもじもじさせ、突然また不器用な十代の少年に戻ったような気分になった。

「え...