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105話

サラ

エレベーターに乗り込むと、ちょっとした興奮を感じた。カップルがよくするように、思いつきで夕食に出かけるというのは素敵なことだった。

「それで」とトムがエレベーターが下降する中で言った。「どこに行くか、何かアイデアはある?」

私は唇を噛みながら考えた。「とりあえず歩いて、行き着いた先で決めるっていうのはどう?」

彼は片眉を上げた。「本当に自発性というものを受け入れているんだね?」

「ねえ、大胆にいくか家に帰るか、でしょ?」

エレベーターがチンと鳴り、私たちはロビーに出た。建物を出ると涼しい夜の空気が私たちを包み、私は少し震えた。トムは自分のジャケットを脱いで私の肩にかけ...