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84話

タティアナは私の向かいに立ち、その存在感は石の塔の空気さえも支配していた。冷たく計算高い氷青色の瞳が、私のすぐ向こうの一点を捉えている。「入りなさい、ブラッドベイン」と彼女が命じると、その声は古代の壁に反響した。

赤い光の渦が空中に現れ、深紅の霧のように部屋の中央に漂っていた。最初は別のポータルかと思ったが、それが人の姿へと凝集し始めた。彼は巨人と言えるほど高く、優に7フィートはあり、魅惑的でありながら威圧的なオーラを放っていた。渦が消えると、そこには超自然的なほど美しい姿が残された。彼の筋肉は神々自身が彫刻したかのように、一つ一つの輪郭がはっきりと浮かび上がっていた。血のように赤い長髪が...