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30話

城の重い青銅の扉が私の背後で閉まると、私の心臓は一拍飛ばした。パニックが内側から湧き上がり、思わず振り返って今しがた出てきた要塞を見つめてしまう。これは気づきの瞬間、たとえ望んだとしても、もう引き返せないという理解の瞬間だった。熊が刻まれた城の青銅の扉、ライオンの金の扉、狼の銀の扉—それらはすべて忽然と消え去っていた。その場所には、古い灰色の地衣類が付着し、雪をかぶった古びた石壁があるだけで、入口の痕跡さえ見当たらない。

この瞬間には最終性の感覚がある。私には前に進む以外の選択肢はなく、夜の中へ、未知の世界へと進まなければならない。唯一の道は前方にあり、雪に覆われた斜面を下って下の谷へと導い...