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110話

私は腰に差した紅い鞘を見つめ、大地の天使の剣の柄を握る手が震えている。剣の重みが私の脇腹を圧し、その存在は私が背負わされた重荷を常に思い出させる。視線をアレクサンドルに移すと、彼の氷のような青い瞳が私の目を焼くように見つめ、彼の顔には心配と決意が混ざり合っていた。

「本当にいいのか?」彼は声を低くして尋ね、私の腕に触れる彼の手の冷たさが私を現実に引き戻す。

私は喉の奥で飲み込み、頷きながら、胸の中で心臓が重く鼓動するのを感じる。「やってみるしかないわ」と、私は張りつめた声で言う。

私は自分が何をそんなに恐れているのか、正確にはわからない。おそらく、未知への恐怖。立ち入るべきではない場所を...