傷跡

20話

第19章：最後の走り

アメリ

ついにその日が来た——私自身の終末の日だ。今夜、私は山に入って儀式を完了させる。逃げ出したい気持ちでいっぱいだけど、逃げ場なんてどこにもない。テイトのつがいの印が私の体についている。自分の皮膚から逃れることはできないのだ。

「大丈夫よ。乗り越えられる。私はまだここにいるわ」イナリは勇敢に振る舞っているけど、彼女が私と同じくらい怯えているのを感じることができる。私は狼の精霊を封印しようとしている。彼女は私の魂に繋がった一部分。彼女はこんな目に遭う筋合いはない。

「ねえ、午後は変身して森で過ごさない？お父さんの護衛たちは対応するしかないわ」イナリの気持ちが少し明るく...