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80話

永遠に続いていた恐怖が徐々に消え始め、心の奥で聞こえる見知らぬ声の詠唱とともに薄れていく。詠唱が終わると、重苦しい闇の向こうに小さな淡い光が見えた。闇はもう少し孤独でなくなったように感じる。私は辺りを見回し、光の源を探す。見つからず、眉をひそめる。

躊躇いながら、丸くなっていた体を起こし、ゆっくりとその心地よい光に向かって少しずつ進む。懸命に努力しても、光との距離は縮まらない。少しずつの歩みは着実な歩行になり、やがて走りだすが、それでも距離は変わらない。光に到達したいという切迫感に駆られていると、全身にピリピリとした感覚が走る。それは嵐の前の空気中の静電気を思わせる感覚、稲妻が落ちる直前に全...