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76話

エスメ

長い間冷たさに包まれていたせいか、体が最終的に溶け始めた時、液状の炎が体内を駆け巡るような感覚がした。私が意識できるのは、その痛みと灼熱感だけ。これまで不確かな時間の間私を悩ませていた沈黙が破れ、急き立てるような響きのある詠唱に変わった。その音は薄れて理解しにくいが、炎が私の体内を駆け巡るにつれて次第に鮮明になり、ついには頂点に達した。

その音はまだ理解できないが、突然途切れると耳に鳴り響くほど大きかった。その後の沈黙は音よりも耳の中で大きく響き、私をぐらつかせた。

すべてが長い間暗闇に包まれていた。「なぜすべてが暗く、冷たく、静かなの?私はどうしてしまったの?」

動こうとして...