億万長者の兄弟と結婚

50話

〜カスピアン〜

カスピアンは、オードリーが兄と一緒に部屋を出て行くのをただ見つめることしかできなかった。アルコールの効果が薄れ始め、何が間違っていたのか理解し始めた。未来の花嫁にあんな無神経なことを言うべきではなかった。誕生日おめでとうと言うべきだったのに。それなのに、酔っ払って彼女に馬鹿げたことを怒鳴りつけてしまった。

俺は本当にクズだ。

カスピアンは自分の行動に完全に嫌気がさして奥の部屋を出た。パーティーに戻ることはせず、代わりに静かな隅を見つけて一人で酒を飲み、ふさぎ込んでいた。

「ねえ、オードリー見なかった？」

カスピアンの静かな時間は、オードリーの親友であるマイキーとオリビ...