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16話

〜キリアン〜

オードリーは青い水着姿でボートの周りを歩いていた。

あんな小さな水着で歩き回るなんて、注意書きでも付けないと男が心臓発作を起こすぞ、とキリアンは心の中で嘲笑した。彼女を見ているつもりはなかったのだ。ヨットのキッチンでコーヒーを入れていただけで、たまたまそこの窓からオードリーが日光浴をしているデッキが見えたのだ。

「気をつけて、熱いよ」突然、キャスピアンが背後に現れ、キリアンが注いでいる熱いコーヒーポットを指差した。彼はポットに注意を払っておらず、マグカップに注ぎすぎてしまった。

「くそっ」熱いコーヒーが肌を焼くとキリアンは身をすくめた。タオルを掴んで指とカウンターにこぼれ...