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第55章

岩崎奈緒は目を細めた。彼女はすっかり動画のことを忘れていた。

萩原奏は彼女が黙っているのを見て、ようやく相手を押さえ込んだと思った。

「森野社長はよくあなたのことを私に尋ねてくるわよ」

萩原奏は頬の水を拭いながら、軽蔑した表情で言った。「今ただのちっぽけなデザイナーに過ぎない。森野社長があなたの居場所を知ったら、訪ねてくるんじゃないかしら?結局、あの時彼はあなたを手に入れられなかった。とても残念がっていたわ。あなたのことをずっと思い続けているのよ」

言葉が終わるか終わらないかのうちに、岩崎奈緒は反問した。「動画のことでしょう?」

萩原奏が答える前に、彼女は手を伸ばして相手を個室に押...