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第48章

「あの、どうされましたか?」

岩崎奈緒が声をかけた。その目には疑問の色が浮かんでいる。

温水聡は顔を上げ、彼女に微笑みかけた。「元金だけお返しいただければ」

「いえ、私たちこの業界は、約束を非常に大切にしていますので」

カジノの新人が一晩で400億も勝ち、しかも女性となれば、ドアを出る前に面倒事が待っているだろう。

今一番いい方法は、手元のトラブルの種を移すことだ。

温水聡との約束は、それを実現する最適な理由になった。

温水聡の表情はさらに複雑になった。200億円も放棄するなんて、何をするつもりだろう?

藤原光司の依頼を受けたとしても、設計料は数億程度だろう。一生働いても、こ...