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第39章

藤原グループビル最上階。

藤原光司は机の向こうに座り、表情は依然として険しいままだった。

昼に時間を作って藤原邸に戻ったのに、彼女は図々しくも彼をすっぽかしたのだ。

すでに底辺まで落ちていた印象は、今や地球の中心を突き抜けるほどだった。

オフィスのドアが開き、井上進が書類の束を持って入ってきた。

「社長、海外の医師から電話がありました。お爺さまはすでに手続きを進めていて、一週間ほどで帰国できるそうです」

早すぎる。

藤原光司は眉間を揉みながら、しばらくして漸く顔を上げ、淡々と言った。「弁護士に新しい契約書を作らせろ。藤原グループは岩崎家の二次融資を援助する。条件は、名ばかりの妻...