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第36章

藤原美咲はまだ子供らしい無邪気さを持ち合わせていて、話しながら目を輝かせ、つい饒舌になってしまう。

おそらく面倒な人たちと接する機会が多いからか、岩崎奈緒は彼女と過ごす時間に珍しく心を許していた。

彼女は藤原美咲の絵を見つめたまま、何も言わなかった。

藤原美咲は手に筆を持ったまま、ため息をついた。

本来、岩崎奈緒から何か建設的なアドバイスがもらえるとは期待していなかったが、彼女が突然脇にあった筆を取り、画用紙の上で少し手を加えるのを見た。

元々生気のなかった画面が瞬く間に息を吹き返し、筆遣いまでも生き生きとしていた。

彼女は思わず目を見開き、手で自分の目をこすった。

「あなた…...