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第33章

藤原光司は書類を読んでいる手が一瞬止まり、ゆっくりと顔を上げた。その瞳に一筋の疑惑が走る。

「景くん、まさか光司くんにも黙っていたの?」林田雅は軽く笑った。

林田雅は林田景が普段からこの従兄をやや恐れていることを知っていたが、まさか彼女ができたことさえ言わないとは思わなかった。

「あの子ったら。忙しくて彼女と過ごす時間がないって言うのよ。あなたが彼女のデザインを選んだなら、きっといい子なんでしょうね。見た目も愛らしいし」

「ペニーのことですか?」

藤原光司は眉間にしわを寄せた。彼女は結婚しているはずだが。

「ええ」林田雅は微笑んだ。「景の彼女でこれほど気に入ったのは初めてよ。彼女...