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第32章

岩崎奈緒はレストランの入口に立ち、進退窮まっていた。

背後にいる林田景が小声で言った。「あそこの窓際に座っているのが母さんだ。戦闘力MAX級だから、今日無事に出られたら、君は僕の命の恩人だ」

岩崎奈緒は口元が引きつり、反射的に顔を伏せようとしたが、すでに林田雅の視線が彼女に向けられていた。

その視線に気づき、林田景の体が一瞬硬直した。

「失礼します」

そう言うと、彼は岩崎奈緒の腰に手を回し、林田雅の方へと導いた。

林田雅は鋭い目で二人を上から下まで観察した。

林田景は紳士的に岩崎奈緒の椅子を引き、目に笑みを浮かべた。

「母さん、こちらが僕の彼女だよ。インテリアデザイナーをして...