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第20章

藤原光司の後ろに立っていた井上進は、社長が会議のことを忘れたのかと思い、声をかけようとしたが、岩崎奈緒の顔を見るなり、言葉を飲み込んだ。

「昨夜の女性か?」

「彼女と社長は一体どういう関係なんだ」

エレベーターが数人の前で止まり、岩崎奈緒は「どうぞ」と手で示した。

藤原光司は彼女に遠慮することなく、振り向いて井上進に先に会社へ行くよう指示してから、中に足を踏み入れた。

ホテルの朝食エリアは1階のロビーにあり、すでに多くの人で賑わっていた。

岩崎奈緒と藤原光司は窓際のテーブルを選んで座ると、すぐにウェイターが二人にレモン水を運んできた。

彼女はレモン水を一口飲むと、その酸味が味覚...