彼女の心を取り戻す

第15章

女性は赤い唇を少し開き、薬の効果によって、瞳は光を帯びて揺らめいていた。

藤原光司の脳に、意図的に忘れようとしていた断片的な記憶がよぎる。つい先日の夜も、彼女はこんな眼差しで自分を見つめていたのだ。

なぜか、胸の内側が微かに熱くなる。

岩崎奈緒もその隙に、さらに彼にしがみついた。

三浦安は藤原光司が彼女を押しのけないのを見て、少し困惑した。

昼間、藤原光司は自らの口で、この女性は自分の奥様ではないと認めていたはずだ。今はいったいどういうことなのか？

彼は視線を岩崎奈緒に向け、のどぼとけを動かした。「ペニー、俺だよ、安だ。こっちにおいで」

彼は薬の効果がすでに現れていると確信して...