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第10章

岩崎奈緒はフロントに立ち、藤原光司にどうやって会えるか考えていた。今、フロントに自分が藤原光司の妻だと告げても、信じてもらえるだろうか。

おそらく藤原光司の熱狂的なファンと思われて、追い出されるだけだろう。

それとも藤原家に戻ってみるか?

そう考えていると、携帯の着信音が鳴った。見知らぬ番号からだった。

電話に出ると、非常に丁寧な声が聞こえてきた。「もしもし、岩崎奈緒さんでしょうか?」

岩崎奈緒は一瞬戸惑った。「はい、そうですが、どちら様ですか?」

「初めまして、藤原光司様の顧問弁護士でございます。藤原さんから離婚協議の件でご依頼を受けました。今、お時間よろしいでしょうか?」

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