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第19章 キッチンのエピソード

「手伝おうか?」

水原雪乃は佐藤葛間の後ろに歩み寄り、真摯な様子で尋ねた。

彼女は座って待っているだけで、彼一人を忙しく働かせるのは気が引けたのだ。

料理はあまり得意ではないが、手伝いくらいはできるはずだった。

佐藤葛間は振り返り、彼女の潤んだ杏色の瞳がきょろきょろと動くのを見て言った。「じゃあ、野菜をちぎって洗ってくれるかな?」

水原雪乃はすぐに頷いた。「うん」

野菜をちぎって洗うのは得意だった。以前、平野美咲が料理を作りに来たときも、彼女はいつも野菜を洗う係だった。

そう言うと彼女はすぐに袖をまくり上げ、脇に置いてあった野菜とボウルを手に取り、別...