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第12章 いい子だから、手を離して

松本効は人込みを押しのけて入り口を突破し、焦りながら中へ叫んだ。「水原社長、あなた……」「大丈夫ですか」という言葉が喉まで出かかったところで、彼は恐ろしい顔を目にした。

なんということだ!!!

あれはJMグループの謎めいた社長ではないか?!?!

なぜここに?

しかし、自分の水原社長が無事に立っているのを見て、彼の胸のつかえはようやく下りた。

次の瞬間、松本効は自分が押しのけた相手が中央病院の木村院長と清水家の清水二郎だったことに気づいた。

恐れおののいて、慌てて手を離す。

「す、すみませんでした、木村院長、清水二郎」

松本効は冷静さを取り戻し、入口に立ち並ぶ人々が誰もが恐れる...