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第36章

若林夢子の言葉を聞いて、城田景行は疑いを抱かなかった。

まだ湯川優の側に立っている松本隆一を見て、不機嫌な口調で命令した。「すぐに来て夢子を診てくれ。湯川優はもともと大した病気なんかないんだ。彼女の芝居に付き合う必要はない」

城田景行の印象では、湯川優の体はずっと丈夫だった。

これほど長い間一緒にいて、彼女が病気になるところをほとんど見たことがない。どうして自分が離婚を切り出したとたん、急に重病になるはずがあるだろうか。だから今の状況も、自分が夢子を気にかけているのを見て、わざわざこの所謂医者の友人を呼んで、自分に見せるための芝居に違いないと思った。

「芝居に付き合う?」

湯川優の...