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第41章

口論の声が次第に大きくなっていた。

ドア一枚隔てただけの場所で。

榎田神也は足を止めた。マスクに覆われた表情からは感情が読み取れない。

傍らの中村景がずうずうしく口を開いた。「助けに行かないのか?絶好のチャンスだぞ!」

「お前にやるよ」榎田神也は冷ややかに言った。

「俺はNTRに興味ないんでね」

中村景は榎田神也の肩を叩きながら、「めったにないチャンスだぞ。今こそ飛び込んで、思い切り抱きしめれば、絶対に……」

話しながら身振り手振りで示す。

ずうずうしい表情。

見ているだけで殴りたくなる。

榎田神也は顔を下げ、横目でその手を見た。

「その手、いらなくなったか?」

声は...