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第49章 裏目に出る

道中、水原雪乃はずっと何か言いたげな様子だった。

黒川綾はそんな様子を見かねて、沈黙を破って口を開いた。

「水原社長、今は二人きりですから、何か言いたいことがあるならはっきり仰ってください」

「ああ、では率直に言おう」

水原雪乃の表情が一気に厳しさを増し、意識的に黒川綾の方へ少し身を寄せた。

「実はな、我々も分かっているんだ。拓真の性格からして、彼が簡単にお前を手放すはずがない。だからお前が拓真から逃れるのは容易なことではない。少なくともお前一人の力ではな」

黒川綾は目を伏せ、暗い諦めの空気が彼女を包み込んだ。

「そのことについては、私があなた以上によく理解しています」

「私...