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第23章

引き返せない弓を引いた。

加藤枝子も今となっては意地を張って、黒川綾を陥れる機会がまだあるかどうか見るしかなかった。

一方、黒川綾はすでに静かに手に持っていた香を灯していた。

香の煙がゆっくりと立ち上り、まるで意思を持つかのように加藤枝子の方へ漂っていく。

黒川綾は加藤枝子を見つめ、表情が一気に明るくなった。

「加藤さん、見てください。この煙は最初からあなたに向かって流れて、今ではあなたの周りをずっと取り巻いていますね。このブレスレットは、間違いなくあなたが持っているはずです」

加藤枝子の顔色が一瞬で真っ青になったが、それでも彼女は断固として否定した。

「あなた...これは中傷...