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第21章

「あなたが黒川さんですね?宝石を届けに来たのですね」

「はい」黒川綾は少し緊張した様子でうなずいた。

家政婦は終始優しい笑みを浮かべながら、「こちらへどうぞ」と言った。

家政婦に案内されて広大な庭を回り込むと、ようやくホールに到着した。中年の夫婦がリビングの中央で茶を飲んでいた。

「ご主人様、奥様、黒川さんがいらっしゃいました」

「どうぞお座りください」男性は黒川綾を一瞥すると、手招きして座るよう促した。傍らの家政婦もすぐにお茶を注ぎ、至る所に礼儀が行き届いていた。

黒川綾は席に着くと、宝石を卓上に置いた。

「ご主人様、奥様、こちらがご注文いただいたジュエリーです。ご確認くださ...