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第19章

坂井晴美は気持ちを整えながら、小林沙織を支えて優しく言った。

「おばあちゃん、もちろんそんなことはデマよ。外の噂なんて信じないでね」

坂井晴美はお年寄りの前で離婚のことを認めるつもりはなかった。

もしおばあちゃんが邪魔をして離婚できなくなれば、藤原恭介は一生涯、本当に愛する人と結ばれなくなる。

彼は既に自分のことを嫌っているのに、これ以上彼の嫌悪の中で余生を過ごしたくはなかった。

「ほら、わたし今日こんなにきれいに着飾ってるのに、離婚なんかするわけないでしょ?」坂井晴美はその場でくるりと回った。キャミソールが彼女の細さを一層引き立てていた。

藤原恭介はほっと息をつい...