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第25章 あなたたちは本当に夫婦のように見える

高橋花子は思い出せなかった。この住所をどこで聞いたことがあるのか。

実はこれが彼女の夫、平沢光の実家の住所だったのだ。

付き合っていた頃、彼女は何度も彼の故郷を訪ねたいと言ったが、いつも冷たく断られていた。彼は自分の故郷は貧しい山奥の小さな村で、お嬢様育ちの彼女には住み心地が悪いだろうと言っていた。

おまけに彼は孤児で、もう家族は誰も生きていないから、行っても意味がないと。

高橋花子は、故郷が彼の心の奥底にある触れてはならない傷だと思い、気を利かせてその話題に触れないようにしていた。

だが今、父が殺人犯に仕立て上げられた以上、鉄樹村へ足を運ぶ必要があった。

A県からT県への飛行機...