愛と噓の狭間で

第22章 彼に十の胆を借りても、勝手に決める勇気はない

平沢光はゆっくりと組んだ足を組み替え、後ろにいる劉秘書の方を見た。「彼女をこんな格好にさせたのは君か？」

平沢光の死のような視線に、劉秘書は顔色を変え、慌てて手を振った。「いいえ、違います」

十倍の勇気があっても、彼は勝手に判断してこんな愚かなことをする度胸などなかった。

女は平沢光の冷淡さや気質を理解していなかったため、大胆にもさらに近づき、シャネルの香水の香りが一瞬で平沢光の鼻腔を満たした。

平沢光は眉をわずかに顰めた。

女は真っ白で細長くまっすぐな脚を見せびらかし、媚びるように笑った。「平沢社長、そんなに怖い顔をなさらないで。劉秘書が怯えちゃってますよ。私が自分でこんな格好を...