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第57章

佐倉寧々は佐倉桜の手に持ったグラスをじっと見つめながら、ゆっくりと手を伸ばした。まるで誰かと杯を交わしているかのように。

彼女はグラスを手に取ると、皆の目の前でゆっくりと佐倉桜の頭上からお酒を注いだ。

冷たい酒が佐倉桜の頬を伝い、胸元へと流れ込む。その刺激に彼女は全身をびくりと震わせた。

佐倉桜は呆然としていた。

さっきまで騒いでいた人たちも、今は目を見開いて固まっていた。

佐倉寧々はゆったりとグラスをトレイに戻すと、冷ややかな表情で佐倉桜の顔を見据えた。

「前にも言ったでしょう。わたしの前で調子に乗らないで。わたしは気が短いから、あなたを甘やかすつもりはないわ」

佐倉桜は完全...