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第46章

他人にとっては単なる祝福の言葉に過ぎないもの。

だが藤原卓也と佐倉桜という当事者にとっては、この上ない皮肉でしかなかった。

藤原卓也の表情がゆっくりと険しくなっていく。

佐倉寧々がそう言った時、彼女は本当に何の負担も感じていなかった。まるで古い友人への祝福のように。

彼の胸の内には嫌な感情が渦巻いていた。非常に不愉快だった。

佐倉寧々は彼と佐倉桜が結婚できないことを知りながら、あえてそんなことを言うなんて……

周囲の人々は彼らの間に流れる空気の変化に気づかず、ただはやし立てていた。

「藤原社長、もうそんなに長く付き合ってるんだから、確かに結婚すべきですよね」

「結婚式はさぞ豪...