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第41章

「確かに佐倉さんですね?」

高橋人尤は木村川の様子を慎重に窺っていた。

男の顔に余計な表情はなかったが、周囲に漂う雰囲気は恐ろしいほど冷たかった。

この状況で誰も口を開く勇気はなかった。

一方、佐倉寧々は藤原卓也に強く引っ張られ、彼の腕の中に抱き寄せられていた。

成人男性の体重がそのまま彼女にかかり、佐倉寧々はなかなか押しのけることができず、体がよろめいた。

藤原卓也は完全に彼女に寄りかかっていた。

村田安が傍らで困ったように言った。

「義姉さん、やっぱり彼を家まで送ってあげたら...」

「こんな遅くに藤原家に行くのは迷惑かけるわ」

「お願いします、義姉さん」

佐倉寧々...