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第10章

トイレに向かうと、中から藤原卓也と佐倉桜のあられもない接吻の音が聞こえてきた。

それを聞いた佐倉寧々は背筋が凍った。

この二人はまだ恥を知らないのか?外には招待客がいるというのに。

彼女は眉をしかめ、外からドアをノックして、冷淡でもなく温かくもない声で言った。

「あのね、もう少し声を大きくしてみない?みんなに知られても構わないわよ」

中の音は瞬時に止み、続いてごそごそと物音がして、しばらくして扉が開いた。佐倉寧々はスマホを取り出し、出てきて文句を言おうとする佐倉桜に向けた。

「佐倉桜、一応まだ私は彼と離婚してないのよ。浮気相手であることを誇りに思うなら、もっと堂々とさせてあげても...