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第51章

「ただ、汚いものに触れただけだ」

彼はその吐き気を催す臭いに耐えられなかった。さらに、その臭いが彼の大切な美咲に付くのは絶対に避けたかった。

汚い。

彼が自ら謝ったことで美咲の気持ちは少し楽になった。彼女は自ら夜十神望に近づき、彼の前に立ち止まった。

双眸が彼の手に向けられる。さっき彼が狂ったように手を洗っていた光景は、彼女の目を逃れることはなかった。

美咲は夜十神望の驚きの表情の中で彼の手を取り上げ、唇元まで持ち上げ、優しくキスをした。

繊細で柔らかな感触が襲い、夜十神望は震えた。

夜十神望、過去に何があったとしても、もう終わったこと。その辛い記憶は過ぎ去らせて、あなたにはわ...