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第46章

美咲は体を横に向け、夜十神望を見つめた。彼の高い背が徐々に消えていく姿を見ながら、朱色の唇をきつく結んでいた。

夜十神謙介が近づいてきて、急いで洗面所へ向かう主人を見た。美咲さんにも目もくれない様子に、かなり心配そうな表情を浮かべた。

彼は急いで傍らの美咲に声をかけた。「美咲さん、主様のことを責めないで。彼はただ潔癖症なんだ」

それも非常に重度の潔癖症だった。

美咲は理解したふりをして、頷きながら夜十神謙介を手で止め、首を傾げて彼を見つめ続けた。

知識欲に満ちた様子だった。

夜十神謙介はあの頃の出来事について話したくなかった。あの時期はあまりにも暗黒だったからだ。

だが、今日の...