第18章一発の平手打ち

西原隼也は笠原千佳を支え起こした。

笠原千佳も笠原家の別荘に行った結果がどうなるか分かっているようだった。

すっかり打ちひしがれ、意気消沈した表情で、明らかに期待はしていないが、それでも一度試してみたいようだった。

辛くて涙が止まらず、西原隼也はそれを見て胸が痛んだ。

彼には理解できなかった。こんな家族に留まる必要があるのだろうか？

笠原千佳は幼い頃から、本当の家族愛を受けたことがあるのだろうか？

西原隼也は言えなかった。というより、人の苦しみを知らずに人に善行を勧めるべきではない。

笠原千佳の経験を経ていない上に、彼女は優しく心の柔らかい女の子だ。

何かあれば自分のせいにし...

第18章 一発の平手打ち