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第27章

七月、気温が上がり始め、気象台は赤色警報を発令した。

三十五度の猛暑が一週間も続き、宮下大介の実験は何度も計算と検証を重ねた末、ようやく進展が見られた。

やっと休憩時間ができ、疲れ切った体を引きずって七階まで上がり、しっかり眠って体力を回復しようとした瞬間、向かいの部屋から物音が聞こえてきた。

ドアを開ける動きを一瞬止め、振り向いて閉まったままのドアを見つめ、近づいてノックした。

「鈴木さん、いますか?」

返事がない。もう一度ノックしてみた。

それでも反応がない。

彼が二秒ほど躊躇い、警察に通報すべきか迷っていたとき、「カチャ」という音とともにドアが開いた。

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