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第23章

「ん?」江口慎吾が眉をひそめた。

「私の指紋も登録してくれない?」宮下遥が玄関のロックを指さして、悲しそうな顔をした。まるで辛い目に遭った子犬のように、しょんぼりとして

「何回も玄関で待ったことあるんだよ。ほら、手も足も、一つ、二つ、三つ…こんなにたくさん腫れてる。次もこんなにひどく刺されるの、見てられる?」

「見てられないな」

「やった!」宮下遥は嬉しそうにぴょんと跳ねた。

「実はわざとだったの。指紋登録してもらって、これからは堂々とあなたに会いに来たかったの」

男は思わず笑みを漏らした。

「まだ子供みたいだな…」

江口慎吾は彼女の指紋を登録した。

今...