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第17章

宮下遥は足早に階段を降り、学校の正門に向かって駆け出した。道路脇に停めてある江口慎吾の車を一目で見つけた。

江口慎吾は車のボンネットに寄りかかっていた。ミルクホワイトのTシャツに深灰色のロングコートを羽織り、黒いスラックスを合わせたスタイルは、まるで大学生のように若々しく、活気に満ちていた。

周囲の人々が振り返って見るほどだった。

三分間のうちに、彼は三度も腕時計を確認した。

約束の十時はすでに過ぎている。

江口慎吾はスマホを取り出し、宮下遥の番号を探し、ちょうど電話をかけようとした瞬間、ふわりと甘い香りが近づいてきた。

宮下遥は両手で江口慎吾の首に腕を回し、甘えた...