




第6章
言い終わると、小林絵里は腰の痛みを堪えながら、ドアの方へ向かった。
坂田和也は様子がおかしいと気づき、前に出て彼女を引き止めた。
「待って、どうしたんだ?」
小林絵里は彼の手を振り払い、嘲るように言った。「坂田社長は美人を抱いているんだから、他人のことなんて気にしてられないでしょ?」
坂田和也はそこでようやく思い出した。先ほど慌てていた時、彼は誤って彼女を押してしまったのだ。
眉をひそめ、一方的に小林絵里を引き寄せ、彼女の服の裾をめくり上げた。
白い腰には、ぶつかったことでできた青紫の痣が広がっていた。
小林絵里は彼の手を押さえ、よそよそしい口調で言った。「坂田社長、私のこんな怪我なんて、夏目夕子さんと比べたら……」
「嫉妬してるのか?」
坂田和也の声色には、かすかな喜びが混じっていた。
小林絵里は少し怒り、腰をひねって彼の拘束から逃れようとした。「坂田社長、離婚するつもりなら、距離を置いた方がいいと思います」
坂田和也の眼差しは晦渋で読み取れない。
目の前の女性の少し開いた襟元から覗く、なめらかで白い首筋が彼を誘っているかのようだった。
どうせ、彼女と別れるつもりなど本気ではなかったのだから。
坂田和也は口元に興味深そうな笑みを浮かべ、声は低く魅惑的だった。「まだ離婚してないだろう?」
小林絵里は危険を感じ取り、後ずさりした。
「坂田和也!何をするつもり?」
「どう思う?坂田奥様?」
話しながら、坂田和也はすでに小林絵里を壁際のソファへと追い詰めていた。
「元気そうだな、腰も大したことないみたいだ」
言うが早いか、男は手を伸ばして押し、小林絵里は柔らかく広い革のソファに沈み込んだ。
次の瞬間、坂田和也は身を乗り出し、彼女を狭い空間に閉じ込めた。
大きな手で優しく彼女の髪を撫で、坂田和也の視線がじわじわと熱を帯びてきた。
「坂田和也!ここは会社よ!」
小林絵里はあの眼差しが何を意味するか、よく知っていた。
彼女は少し怯え、緊張してドアの方を見やり、彼を押しのけようと手を伸ばした。
しかし男に手を握られ、彼ののどぼとけの上を軽く撫でさせられた。
「オフィスでやるのは初めてだな。信じて、絵里、きっと気に入るよ……」
そう言いながら、小林絵里の震える唇にキスをした。
もう片方の手はシャツの中に入り、器用に彼女の背中のブラのホックを外した。
「坂田和也!」
坂田和也は顔を下げて微笑み、彼女の敏感な耳元で息を吹きかけ、低く甘い声で誘った。「いいこだ、和也って呼んで」
小林絵里は涙で潤んだ目で彼を見つめ、一瞬恍惚とした表情を浮かべた。
まるで目の前の人が、かつて自分を骨の髄まで愛してくれた口のきけない夫のようだった。
その一瞬の戸惑いが、坂田和也に隙を与えてしまった。彼はあっという間にシャツをはだけさせ、彼女の雪のような胸に手を伸ばした。
小林絵里が胸元の冷たさに気づき、止めようとした時にはもう遅かった。
男はすでに頭を下げて吸い始めていた。
一年の間、彼女は坂田和也のどんな要求も拒んだことがなかった。求愛の際の彼のすべての願いも含めて。
だから、坂田和也は彼女の体を熟知していた。
ほんの少しの間に、小林絵里はもう抵抗する力を失い、坂田和也が彼女の体を好きなように触れるままにしていた。
彼女の雪のように滑らかな肌に、鮮やかで目を引く赤い痕を次々と残していった。
小林絵里は海に浮き沈みする人のように、手の届く唯一の浮木にしがみつくしかなかった。
彼女の両手は坂田和也の肩にかかり、目尻から一滴の温かい涙がこぼれ、男に貪るように舐め取られた。
絶頂の瞬間、坂田和也は手を伸ばして彼女の顔を優しく撫でた。
心配そうな口調で。「どうしてこんなに憔悴してるんだ?昨夜はよく眠れなかったのか?」
その気遣いの言葉に、小林絵里の胸に溜まっていたつらさが滝のように溢れ出した。
彼女は鼻をすすり、甘えるように彼の薄い唇にキスをした。「和也、愛してる、離婚しないで、ね?」
たとえ夏目夕子の足の恩義があるとしても、彼女は自分勝手にも自分の愛のために一度だけ争いたかった。
彼女の頬を撫でていた坂田和也の手が一瞬止まり、目に複雑な表情が浮かんだ。
そして彼は彼女の質問を避けるように、さらに激しく彼女を突き上げた。
小林絵里は一晩中眠らず、感情の起伏も激しく、すでに心身ともに疲れ果てていた。
最終的に坂田和也の容赦ない激しい愛撫に、叫び声を上げながら気を失ってしまった。