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第52章

坂田和也は突然立ち止まった。彼女の眼差しが、どうにも居心地悪く感じられた。

「本当に分からないよ、何を考えているんだ?」小林絵里は静かに尋ねた。「私たち、まだ離婚するの?しないの?」

坂田和也の薄い唇がきゅっと結ばれ、突然彼女の体から離れ、ベッドから降りてバスルームへと直行した。

小林絵里は目を閉じ、どっと息を吐いた。

もうやめよう。

離婚を決めたなら、すっぱりと。

そうすれば二人とも楽になれる。

坂田和也が出てきたとき、小林絵里はすでに出ていった後だった。朝食さえ残していなかった。

彼女はただLINEを一通だけ送っていた。

【市役所の入口で待ってるから】

坂田和也の表情...