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第47章

「休みを取って、明日出社すればいいよ」

ふん!

小林絵里は一声嗤笑し、瞳に感情の色はなかった。

昨夜、彼女はあれだけの勇気を振り絞って言ったのだ。彼からの返答、説明が欲しかった。

たとえ適当な一言でもよかったのに。

でも彼の関心は彼女の言葉にはなかったようだ。いつからだろう、彼が彼女に関心を持たなくなったのは?

そう思うと、昨夜突然あんな質問をしたことが、あまりにも愚かに思えた。

自ら恥をかいただけだ。

小林絵里は感情を整理し、退院手続きを済ませた後、家に戻ると棚の上の書類袋が目に入った。開けてみると、中には不動産権利証と小切手、そして鍵が入っていた。

楓の苑。

Y市の一...