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第38章

「小林絵里?」

彼は優しく呼びかけた。

ベッドで熟睡していた女性は、不安げに小さく喘いだだけで、目覚める気配はまったくなかった。

坂田和也は軽く息を吐き出すと、まだ水気を帯びた上半身のまま、小林絵里を抱き上げ、きちんと枕の上に寝かせた。

自分も布団に潜り込み、背後から彼女を抱きしめた。

柔らかく温かな感触が伝わり、心が再び落ち着くような感覚があった。

小林絵里と結婚したこの一年だけが、彼にこの感覚をもたらしていた。

坂田和也はゆっくりと目を閉じ、眠りに落ちた。

翌日。

小林絵里は目を開けると、まだ二日酔いの頭痛が残っていた。

彼女は頭をさすりながら、見知らぬ環境にいること...