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第35章 彼女のことがまだ好きかもしれない

「絵里!」

高川寒真が小林絵里を連れて行こうとするのを見て、桜は一瞬、止めるべきかどうか迷った。

結局、絵里の内心がとても保守的であることを知っていたからだ。

彼女は、この坂田和也に劣らないほどハンサムな男が、絵里をその失敗した恋愛から救い出してくれることを望んでいた。

しかし、もし明朝、絵里が酒から醒めて後悔したらどうするのか?

迷っている間に、高川寒真はほとんど小林絵里を抱え込むようにしてカウンターから連れ出した。

しかし、まだ二歩も進まないうちに、高い影が二人の行く手を阻んだ。

高川寒真は無意識に目を上げた。

次の瞬間、強風が襲いかかる。

来た者の拳が彼の顔面に向かっ...