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第24章 人類の本質は傍観

ドンという音。

小林絵里はめまいを感じた。

向かい側の夏目夕子は彼女が声を出さないのを見て、慌てて「もしもし」と二度呼びかけた。「小林絵里?」

「すぐ行くわ!」

小林絵里は我に返り、もはや何も考える余裕もなく、タクシーを拾って急いで悦賓楼へ向かった。

道中ずっと、彼女は佐藤桜に必死で電話をかけ続けた。夏目夕子が嘘をついているだけであってほしいと願いながら。

すべてが杞憂であってほしかった。

しかし、佐藤桜の電話はずっと誰も出ない状態だった。

小林絵里はその可能性を考えたくもなかった。

昨日、確かに佐藤桜は自分の仇を取ってやると言っていた。

でも彼女はそれが単なる冗談だと思...