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第13章

小林絵里は、坂田和也がただ口先だけだと思っていた。

しかし、翌日残業を終えてDKグループのビルを出たとき、本当に松本光がいるのを見かけた。

松本光は坂田和也の専属秘書だった。

小林絵里が出てくるのを見て、松本光は車のドアを開け、小林絵里に対して手で案内するジェスチャーをした。「小林さん、坂田社長が坂田邸までお送りするようにと」

小林絵里は辺りを見回し、誰も見ていないことを確認してから、車に乗り込んだ。

幸い、この時間には同僚たちはほとんど帰っていた。もし彼女が松本光の車に乗るところを誰かに見られたら、どんなに弁解しても疑われるに違いない。

道中、松本光は黙々と運転を続けた。

小...