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第56章 こっそり連れ去る

翌日。

鈴木美咲が朝食を買って病室に戻ると、中は空っぽだった。

三人の子供たちは姿を消し、すべての持ち物も片付けられていた。

鈴木美咲は眉間にしわを寄せ、動揺した。まさか藤原隆が彼女に黙って子供たちを連れ去ったのだろうか?

彼女は自分を落ち着かせようとした。自分で自分を怖がらせているだけかもしれない。

ちょうど回診に来た看護師が現れ、鈴木美咲は慌てて彼女を引き止めた。

「すみません、この病床にいた子供たちはどこに行ったんでしょうか?」

「30分ほど前に、退院手続きをされた方がいらっしゃいましたよ」看護師は答えた。

鈴木美咲の頭が真っ白になり、手に持っていた朝食を取り落とし...