財閥後継者の物語

第53章

ケイソンが言い終わると、レストランの店長は興奮のあまり飛び上がりそうになった。こんなに幸運なことが起こるとは思ってもいなかったからだ。

リオンはすでにアリスとレストランに向かう準備をしていたが、ケイソンの言葉を聞いて足を止め、彼に向かって奇妙な笑みを浮かべた。

「ケイソンさん、どうやら彼の仕事ぶりをかなり評価されているようですね？」

ケイソンは頷いて言った。

「はい、リオン様、何か仰りたいことがありますか？もし私が彼に提示した給料が少ないとお考えでしたら、彼の給料を三倍にすることもできますが」

レストランの店長は足がふらつき、気を失いそうになった。こんな幸運な出来事が自...