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第70章

「もう話さないでおこう。この数日は出張だということにしておいて」

岡崎愛乃は荷物を置くと、病床の脇に座り、尋ねた。「仕事、見つかったの?」

「うん、小さな会社だけど」

石田陽介は気まずそうな表情を浮かべた。岡崎愛乃はそれを見なかったふりをして、顔を岡崎幸太の方に向け、言った。「全部済んだから、私たち帰りましょう」

岡崎幸太は心配そうに尋ねた。「陽介兄さん、一人でここにいて大丈夫?」

「心配しないで、問題ないよ。何かあったら看護師を呼ぶから」石田陽介は気にしない様子で答えた。

岡崎愛乃は立ち上がり、魔法瓶を手に取って言った。「先にお湯を入れてきてあげるわ。飲み物がないと困るでしょ」...