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第40章

「雅」

岡崎愛乃と七沢雅が顔を上げると、階段をゆっくりと降りてくる女性の姿が目に入った。三十歳過ぎといったところで、七沢雅と六、七割ほど似ているが、より鋭さを感じさせる女性だった。

七沢雅は実姉が来たのを見て、自分を後ろ盾にしてくれる人ができたと思い、より傲慢な態度になった。

「姉さん、やっと来てくれた。見てよ、この新しい義姉、初対面なのに私にあれこれ指図してくるのよ」

七沢雅は不満げに言い、岡崎愛乃に向ける視線には刺が込められていた。

七沢心優は岡崎愛乃を一瞥もせず、眉をひそめたまま、七沢雅だけを叱りつけた。「あなたは何様のつもり?こんな人と言い争うほど暇なの?本当に無駄ね」

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